飛行機に乗ることに対し、恐怖心がある方がいるかと思います。
実は、私も航空会社社員でありながら飛行機に乗るのは苦手なんです(笑)
じゃあなんで航空会社に就職したんだ!!って話なんですが……。
難しいもので、飛行機は好きなんですが、飛行機に乗るのは苦手なんですよ(笑)
今回は、飛行機に恐怖心を抱く人の恐怖心を少しでも減らせればと思い、飛行機に乗ることが苦手な航空会社社員が、恐怖心を軽減させられる方法をお伝えいたします。
恐怖心を減らす方法
まず始めに、恐怖心を低減する方法についてお話しいたします。
- 飛行機に乗り慣れる
- 飛行機の構造を理解する
- パイロットを信頼する
これらが最も恐怖心を軽減させる有効な方法だと思います。
では、具体的にお話ししていきましょう。
飛行機に乗り慣れる
冒頭でもお伝えしましたが、私は飛行機に乗ることが苦手です。
私の初フライトは記憶も曖昧な2歳の時なのですが、その時に遭遇した”乱気流”による揺れが脳内にインプットされているようで、いまだに飛行機に乗る時は手に汗を握っています。
現在は職業上、多い時で月に6回ほど飛行機に乗るのですが、怖いものは怖いですね(笑)
しかし、乗る回数が増えたことか、昔に比べると恐怖心は薄れてきているのです。
やはり、飛行機に乗るということは、まだまだ日常的な行為ではなく、非日常的な行為のため、緊張し、恐怖に変わるのだと思います。
つまり、飛行機に乗る回数を増やし、飛行機に乗ることが日常的な行為に変われば、恐怖心も無くなっていくのではないかと思います。
まあ、飛行機に乗る回数を増やすというのは、なかなか難しいことですよね。
電車のように気軽に乗れるものでもないですし。
逆にそのような『特殊な乗り物だ!!』という考えが、恐怖心を生む可能性もあるので、そのような方は『公共交通機関を利用するんだ!!』という考えで、搭乗してみてはいかがでしょうか。
飛行機の構造を理解する
飛行機の構造とは、2種類の考え方があります。
これらを理解するとなぜ今こうなっているのかが分かり、恐怖心が軽減します。
- 『飛行機の飛ぶ仕組みを理解する』
- 『飛行機の飛行手順を理解する』
まず、1つ目から説明いたします。
『飛行機が飛ぶ仕組みを理解する』とは、飛行機がなぜ飛んでいて、なぜ揺れたりするのかを理解することです。
飛行機は翼に揚力を受けることで空気中を飛行することができます。
つまり、速度を出して飛んでいる、かつ空気が有る限り飛行機は垂直には落ちません。
では、エンジンが止まったら落ちるの!?
結論から言うと1つが止まっただけでは落ちません。
飛行機は構造上、1つのエンジンでも飛行を継続することが可能なように作られているからです。
じゃあ、両方止まったら!?
答えは滑空してグライダーのように、徐々に落ちていきます。
つまり真下に垂直に落ちることは、パイロットが意図的に操作しない限り落ちません。
むしろ速度が出続ける限り、上昇してしまいます。
これで飛行機はすぐに落ちないことがわかったと思います。
次に『なぜ飛行機は揺れるのか!!』についてですが、飛行機が揺れる原因は、気流の乱れです。
空気中には気流と呼ばれる空気の流れがあります。
その流れが、常に東から西に流れていれば、飛行機は揺れません。
しかしたまに北から南に流れたりしています。
ここに飛行機が突っ込むと、いきなり風の向きが変わるので揺れてしまうのです。
パイロットの友達はこのように言っていました。
『飛行機は揺れない方がおかしい。空気の中を飛んでいるのだから揺れて当然!!』
飛行機は揺れるように作られています!!
あえて揺れるように作られることで、無理な力が飛行機にかからないようにしているのです。
でも、やっぱり揺れると怖いですよね!!
そんな時は、『揺れてるってことはちゃんと飛んでるんだ!!』と思いましょう(笑)
続いて、2つ目の『飛行機の飛行手順を理解する』についてですが、飛行機が苦手な人の中には、”飛行機からする音に敏感な方”もいるのではないでしょうか。
そのような方は飛行機の飛行手順を理解すると恐怖心が軽減すると思います。
いまは車輪が格納されているからこの音がしてるんだとか、フラップが格納されたからこの音がしてるんだとか、着陸に向けて高度を下げ始めたからエンジン音が小さくなったんだ……などなど。
このようにどのシーンで、飛行機がどのように稼働しているかの知識を入れておくと、恐怖心が軽減されたりします。
この辺の知識はネットで調べればいくらでも出てくるので、知識として入れておくと、飛行機が苦手でない人もフライトが楽しめるかもしれません。
パイロットを信頼する
この言葉は、CAの友達からよく聞く言葉です。
結局、飛行機を操縦できるのはパイロットだけなのです。
パイロットは私たちが想像している以上に、大変な訓練を定期的に受けています。
この厳しい訓練を経ているからこそ、私たちは安全に目的地に到着できるのです。
よく、コクピット内では寝ているんでしょ!?などの質問がありますが、とんでもない!!
常に耳は無線を聞いており、定期的に交信していますし、目は常に周辺の目視と計器類の監視をしています。
私たちが後ろでゆっくり寛いでいる間、パイロット達は大忙しなのです。
まあ、それが仕事なんですけどね(笑)
皆さんも飛行機に乗る時はパイロットを信頼してみてください。
そうすると、恐怖心が軽減するかもしれませんよ!!
飛行機が事故に遭う確率
そもそも飛行機に対する恐怖心というのは、『墜落するんじゃないか!?』という思い込みから来るところもありますよね。
飛行機の事故は、墜落したらほぼ確実に死んでしまうということが、さらに恐怖心を煽りますね。
よく耳にする言葉で『飛行機は世界一安全な乗り物』とか『車より事故に遭う確率が低い』とか聞きますが、実際はどうなのでしょうか!?
実際に飛行機事故に遭う確率は『4年間毎日乗り続けて1回遭うか遭わないか』と言われています。
こう言われると、遭う人は遭うし遭わない人は遭わないじゃんってなってしまいますね。
しかし、私は定年まで約35年間無事故で飛び続けて、引退したパイロットをたくさん見てきました。
(毎年定年退職パイロットがいるため、20人以上は見ましたね)
世界にはとても多くの飛行機が毎日飛んでいます。
そして、無事故で定年を迎えるパイロットがほとんどです。
この間引退したパイロットは、緊急着陸すら実際に遭遇したことがなかったと言っていました。
(訓練では経験済みですが……)
約2日に1回の割合で飛んでいるパイロットですら、この確率なので、私たちの事故に遭う確率なんて、生涯で遭遇する方が難しいのではないかと思ってしまいます。
また、飛行機の安全設備は常に進化し続けています。
車のブレーキアシスタント機能以上に飛行機の設備は優秀です。
普通に飛んでいる飛行機を素人が操縦して墜落させる方が難しいと言われているほどです。
飛行機の事故に遭う確率は非常に低いことがお分かりいただけたと思います。
まとめ
飛行機に対する恐怖心は人それぞれ違うと思います。
航空会社に入社して、飛行機に乗りまくった(強制的に乗らされた)私は、いまほとんど恐怖心はありません。
上記以外の理由で恐怖心を抱く方もいるとは思いますが、飛行機が素晴らしい乗り物であることを再認識し、楽しい空の旅を送ってください。
皆様のご搭乗を心からお待ち申し上げます。
それでは〜〜