飛行機

大韓航空は安全なのか?KE631便オーバーラン事故も含め徹底解説!

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舞い戻ってきた今度新人です(笑)

さて、今回は2022年10月23日に発生した
『大韓航空631便 オーバーラン事故』について航空会社社員目線で徹底解説しつつ、
大韓航空の安全性についても解説していきたいと思います。

この記事では

  • 大韓航空はなぜオーバーランしたのか?
  • オーバーランとはそもそもなにか?
  • 大韓航空は安全なのか?

これらの疑問について解説していきます。

航空機事故は一度起こすと、
かなり社会的に関心の出る話題であると思いますので、
いま一度飛行機の安全性と選ぶべき航空会社の再認識をしていただくためにも、
ぜひ最後まで読んでいってください。

大韓航空631便オーバーラン事故の詳細

概要

2022年10月23日、韓国仁川国際空港発、フィリピンマクタン・セブ国際空港行きの
KE631便は、現地時刻の23時7分に着陸失敗し、滑走路からオーバーランしました。

機体はエアバスA330‐300型機であり、1994年から運用が開始されているロングセラー機でありました。

この便には、乗員11名・乗客162名の計173名が搭乗していましたが、死者は出ておらず、
けが人もいなかったことから、航空機事故ではありますが、死亡事故にはなっていません。

KE631便は、深夜の悪天候の中、着陸まで2回のゴーアラウンドをしており、
そのゴーアラウンドの過程でブレーキが故障し、最終的な着陸の際にブレーキが効かず、
滑走路を逸脱(オーバーラン)したものと考えられます。

機長の報告では、2回めのゴーアラウンドの際に、上昇しようとしたところ、
強烈な下降気流(ウインドシア)に見舞われ、
飛行機自体が滑走路に叩きつけられたと話しており、
この際にブレーキ油圧系統の警告灯が点灯したとも話しています。

ブレーキ油圧系統の警告灯点灯に対し、機長は緊急事態宣言をしており、
3回目の着陸は緊急着陸を宣言しています。

そして、3回目の着陸で機体は滑走路に着陸しましたが、
ブレーキが効かずに滑走路をオーバーランしてしまったということです。

乗員乗客は脱出用スライドを使用して、機外に出たことと、火災が発生しなかったことが、
今回のオーバーラン事故で死者が出なかった不幸中の幸いでしょう。

オーバーランとはなにか

よく耳にする言葉で、電車の事案で使用されているのではないでしょうか。

「ホーム内で止まりきれずに、何mオーバーランした」とニュースで聞くかと思います。

飛行機の場合も同じで、決められた長さの滑走路内で停止できなければ、滑走路を飛び出してオーバーランとなってしまいます。

飛行機は着陸時、おおよそになりますが、140ノット(約260キロ)は出ています。
そして何トンもある金属の塊を約3kmの滑走路内で止めなければなりません。

正直言って、基本的には止まります。

というか止まらないほうが、稀です(笑)

ただ、新幹線のトップスピードと大差ない速度で滑走路に降りてくるので、
それなりに強烈なブレーキが必要なのは容易に想像が付きますよね!!

実際、飛行機には逆噴射とタイヤブレーキの2種類のブレーキが備わっており、
さらにオートブレーキという着陸と同時に自動でブレーキをかけてくれるシステムまで、
しっかりと備わっています。

基本的には止まるように設計されていますし、
飛行機がオーバーランはかなり稀な事象であります。

なぜなら、飛行機の場合無理して止まろうとしなくても、止まらないと思ったら、
再度上昇してやり直しが可能だからです。

このような理由から、オーバーランというのは稀であり、基本的には安全に着陸できないと判断した場合は、着陸をやり直すため、電車のような一発勝負ではないのです。

航空会社社員目線の考察

では、ここからは航空会社社員である私の考察をお伝えします。

なお、これからの内容は、私個人の意見が入っており、
今回の事故とは直接関係ない可能性もありますので、ご注意ください。

最新の情報が出ましたら、随時更新していきます。

事故の要因と考察
  1. 到着空港周辺が悪天候であった
  2. 悪天候の中、2回ゴーアラウンドしている

今回は、この2点に焦点を絞って考えていきます。

到着空港周辺が悪天候であった

まず、今回の事故の一番の要因は『悪天候』であったことがあげられると思います。

通常の天候であれば、問題なく着陸できているはずであり、
2回もゴーアラウンドするほどの悪天候であるということは、
飛行機にとってかなり厳しい気象条件であったことは確実です。

また、2回目のゴーアラウンド時に下降気流であるウインドシアが観測されていることから、相当な悪天候であったことも想像できます。

最近の飛行機にはウインドシア警報装置もついているので、ウインドシアを回避する訓練も含めて、ウインドシアに対しては、パイロット達もかなり警戒しているはずです。

この状況下で、上空待機をせず、アプローチを強行した判断には疑問が浮かびますね。

基本的にウインドシアが発生するほどの悪天候であるなら上空待機してでも、
天候の回復を待つといった選択肢が取れたのではないでしょうか。

悪天候の中、2回ゴーアラウンドしている

上述したとおり、この最悪の天候の中、2回もアプローチをしてゴーアラウンドしています。

しかも、2回目のゴーアラウンドはウインドシアで、
滑走路にタイヤが叩きつけられるほど高度を下げているんです。

実際、パイロットの立場では、2回ものゴーアラウンドをしていると、
着陸させたいという気持ちが全面に出てしまうことはあるのかもしれませんが、
少なくとも悪天候の中、タイヤが地面接地ギリギリまで行っており、
ウインドシアの警報が鳴って、ゴーアラウンドに切り替えた可能性も考えられます。

ここまで高度を下げており、
下降気流直前までウインドシア警報が鳴らないということはありえるのでしょうか??

おそらく、断続的にウインドシア警報は鳴っていたのに、
強行突破した可能性が高いと考えられます。

その後、強烈な下降気流
(この場合はウインドシアではなく、ダウンバーストではないかと思われます。)
に遭遇し、タイヤが壊れるほどの勢いで地面に叩きつけられたのではないでしょうか?

最終的に、3回目で接地はしていますが、ブレーキが故障しており止まりきれていません。

逆噴射も強力なブレーキ操作ではありますが、
飛行機にとって最も重要なのはやはりタイヤのブレーキです。

実際、逆噴射は使用せず、タイヤブレーキだけで止まるというのは聞いたことありますが、逆噴射のみで止まるというのは聞いたことありません。

多分逆噴射のみで止まることは可能です(笑)
なんせ逆噴射でバックしている飛行機が昔あったぐらいなので(笑)

また、今回の場合、悪天候なので、タイヤブレーキが効きにくい状況ではありますが、
風が乱れていると逆噴射で進行方向に風を噴射しても、
ブレーキとして機能しない可能性もあります。

こうした要因が重なり、オーバーランしたと思われますが、
今回の場合パイロットは悪天候の中、なぜ着陸を強行したのかが、1番気になる点ですね。

大韓航空の安全性について

過去の事故・事件

大韓航空は歴史のある航空会社なので、過去にも多くの事故を起こしていますが、
やはり皆さんの記憶にある大事件は『ナッツ・リターン事件』ではないでしょうか??

大韓航空の副社長が、ナッツの提供方法に対して不満を言い、
離陸を中止してCAを降機させた有名な事件ですね。

この事件においては、副社長は解雇されていますが、
事件から4年後に経営陣として復職しています(笑)

すごい経歴ですね(笑)

今回の事故とは無関係ではありますが、このような事件を起こした人が、
再度経営陣として復帰することができる会社という面では、
安全管理に疑問視の声が上がるのも仕方がないことなのかなと思います。

航空会社社員が教える安全な航空会社を選ぶポイント

正直、ポイントというポイントはありませんが、飛行機は公共交通機関なので、
安全に越したことはありません。

安全の文化はいきなり作られるものではなく、築き上げていくものであると思います。

そういった点では、事故を起こさないよう努力している会社や
事故が頻繁に起きていない会社が安全なのではないでしょうか?

実際、事故を起こそうとして運航している航空会社は世界中を見てもありません。

しかし、最近ではパイロットが故意に墜落という事件も多く発生しています。
こういう事故が1度でも起きてしまうと、
その航空会社の信用は一気になくなってしまいますね。

1つの事故がきっかけで倒産した航空会社は数多くあります。

上記の点から考えると、大韓航空は墜落させまいと悪天候の中、
一生懸命目的地に着陸させたのですから、結果としては事故になってしまいましたが、
死者はでていないので、パイロットを称賛すべきなのかもしれませんね。

まとめ

今回は『大韓航空631便オーバーラン事故』を軸に大韓航空についてお話してきました。

航空機事故はゼロにはできませんが、各航空会社ゼロに近づける努力をしています。

故意に飛行機を墜落させることは論外ですが、
パイロットの判断ミスによる事故も根絶できるよう各航空会社が
努力していかなければならないのかもしれません。

皆さんも信頼できる航空会社はありますでしょうか?

航空会社ばかり『信頼できる』という言葉が出てきますが、
逆に選べるというメリットが航空会社にはあると思っています。

それでは〜〜

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今度新人
2020年5月にブログを開始した航空会社社員。大学生の時に台湾に留学し、中国語を習得。このブログでは、航空関係、旅行、趣味のゲームに関する情報を発信していきます。