お久しぶりです。今度新人です!!
さて、とんでもない飛行機事故のニュースが入ってきましたね。
『アシアナ航空OZ8124便航行中非常口開放事故』という前代未聞の事故です。
ということで、2023年5月26日に発生したこの事故について、航空会社社員目線で考察していきたいと思いますので、行ってみましょう!!
アシアナ航空とは
まずは、アシアナ航空について簡単にお話いたしますが、アシアナ航空は韓国の航空会社で、航空機2レターは「OZ」になります。
オズですね(笑)
アシアナ航空といえば、日本でいうところの、JALやANAに相当する航空会社ですが、コロナ禍において、韓国の最大手航空会社である『大韓航空』が買収するというニュースが流れました。
詳しくはこちらの記事を参照してください。
そして、このアシアナ航空ですが、日本でも過去に広島空港で着陸失敗事故を起こしている航空会社でもあります。
アシアナ航空OZ8124便の事故の概要
アシアナ航空OZ8124便の事故内容
2023年5月26日、済州(チェジュ)国際空港発大邱(テグ)国際空港行きのアシアナ航空OZ8124便A(エアバス)321型機は、乗員乗客194名を乗せて11時58分に済州国際空港を離陸した。
同日、12時45分頃に同機は着陸態勢に入っていたが、着陸寸前(2~3分前と言われている)に乗客により、非常口ドアが開けられた。
同機は非常口ドアを開放したまま着陸し、搭乗していた194名にケガはなかったという。
https://www.youtube.com/watch?v=u-cD1YgRqgI
なお、着陸後に乗客12名が呼吸困難の症状を訴え、
うち6名が病院に搬送されている。
非常口ドアは高度250mの辺りで開いたということ、また着陸寸前だったため全員が着席しシートベルトを着用していたことにより、吸い出される乗客はいなかった。
なお、この事故を受けて開放された非常口座席の横に座っていた男性乗客(33歳)の身柄を確保しているという。
男性乗客が開けたことは判明しているが、飲酒をした形跡もなく、非常口開放の動機などを聞いている。
アシアナ航空の非常口座席の着席制限
アシアナ航空の非常口座席着席条件は、万が一の緊急事態時に客室乗務員の指示に従い、乗客の緊急脱出を援助することができることが前提に着席を許可される。
なお、満15歳未満で老弱者、妊婦の着席は制限され、チェックイン時にもカウンターにて援助要請の承諾を得てから座席をアサインする。
これは、ほぼ全ての航空会社で統一されている項目であり、アシアナ航空の同様の確認を出発前におこなっていた。
アシアナ航空OZ8124便の事故の考察
今回の事故を受け、航空会社社員目線での考察をしたいと思います。
ここからはあくまでも個人の主観がメインとなるため、事故の原因等とは一切関係がありません。
アシアナ航空OZ8124便の使用機材について
今回、事故がおこった機体はエアバス社製A321型機であり、世界中で多く飛行している旅客機の1つで、日本では多くのLCCが使用している機材と同じ型になります。
エアバス社のベストセラー機とも呼び声が高く、ナローボディー機(通路は1本)なため、旅客機にしては小型の分類に入ります。
同様のサイズの旅客機ではボーイング社製のB737が有名でしょうか。
A321型機の非常口は全部で6箇所にあり、前方2箇所と後方2箇所、そして翼の上に2箇所あります。
今回開けられたのは、翼の上の左側非常口であり、この扉は本来、非常事態以外では決して開くことのないドアです。
そして、開け方も通常のドアとは異なるため、必ず開け方を客室乗務員かパンフレットにて搭乗後に教えてもらうことになっています。
なぜ非常口が開いてしまったのか
まず、大前提として飛行機は内部に圧力がかかっているため、上空を飛行中に手動でドアを開ける行為は不可能に近いです。
どれだけ筋肉自慢の男性でも、上空飛行中にドアを開ける行為はできないと思います。
そのぐらい圧力がかかっています。
例えるのであれば、圧力鍋の圧力を抜かずに蓋を開ける行為の強化版といったところでしょうか(笑)
また、よく飛行機が飛行中に穴が開くと、そこから空気が吸い出されて行くという光景をみたことがあるのではないでしょうか。
まさにそれが、わかりやすいかもしれませんが、ドアもあの力で外に吸われ続けてることを想像してください。
絶対に開けられないですよね(笑)
今回開いてしまった理由としては、着陸寸前であったためだと考えます。
高度は約250mで東京タワーより低い位置まで降下してきています。
また、着陸に向けて飛行機自体も、速度が時速250kmぐらいまで減速していたため、上空で開けるよりは、簡単に開いてしまうのではないかと考えられます。
ただ、問題点としては、この時速でも開いてしまう設計ではないかとも思います。
A321の非常口の形状
https://www.youtube.com/watch?v=3YEogK_PF6k
こちらの動画を見ていただくとわかるのですが、エアバス社の非常口は横にスライドさせる形で開きます。
これはライバル社である、ボーイング社の非常口とは異なり、上に開くタイプではないので、開きやすい形状ではないかと思います。
少し押し出して、横にスライドさせるだけなので、力が必要なのは、少し押すところまでですね。
これから起こりうる可能性のある問題
- 非常口の開放手順が追加される可能性がある。
- 非常口座席の着席に対して別途条件が追加される可能性がある。
- 非常口座席を撤廃する可能性がある。
上記であげた3点はあくまでも推測でしかありませんが、これらの検討が航空業界全体でおこなわれる可能性があります。
ただ、現状なんのために非常口座席があり、非常口があるのかを考えると、手順の追加は万が一の緊急脱出時に迅速に脱出できなくなる恐れがあるため、可能性としては低いかもしれません。
正常な人物かチェックイン時に判断するには時間が少なすぎます。
そのため、援助いただくんですが、追加料金の徴収であったり、何かしらの条件を追加する必要が出てくるのかもしれません。
まとめ
今回は『アシアナ航空OZ8124便の非常口開放事故』をご紹介いたしました。
まず、皆さんに安心していただきたい点としては、壊れない限り、上空では手動でドアを開けることができないということです。
ただし、絶対に開かないからといって、上空で試してみるのはやめてください。
確実に客室乗務員に拘束されて、そのまま警察に引き渡されます(笑)
今回の事故を受けて、我々航空会社社員でも着陸寸前はドアが開くんだという事実に驚きました。
今回のような事故を二度と起こさないためにも、乗客一人ひとりがマナーを守って搭乗しなければダメですね。
それでは~~